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クローラーとは?検索エンジンの仕組みとSEO対策のポイント

クローラーとは?検索エンジンの仕組みとSEO対策のポイント

インターネット上には膨大な情報が存在し、その情報を整理し必要な情報にたどり着くためには検索エンジンが欠かせません。検索エンジンは、ユーザーが入力したキーワードに関連するWebページを見つけ出し、関連性の高い順に表示してくれるシステムです。

その検索エンジンの中核を担っているのが、Webサイトの情報を収集するクローラーと呼ばれるプログラムです。本記事では、クローラーの役割や種類、検索エンジンにおける位置づけについて詳しく解説するとともに、クローラーに最適化されたWebサイトを作るためのポイントについても紹介します。

目次

クローラーの基礎知識

ここでは、クローラーとは何か、その役割や種類について解説します。

ロボット型検索エンジンの構成要素

ロボット型の検索エンジンは、以下の3つの要素で構成されています。

  • クローラー
  • インデクサー
  • サーチャー

クローラーは、Webページを巡回してデータを収集するプログラムです。集められた情報はインデクサーによって解析され、データベース化されます。これがインデックスです。

ユーザーが検索キーワードを入力すると、サーチャーがそのキーワードをもとにインデックスを検索し、関連性の高いページを抽出します。これを「クエリ実行」と呼びます。

抽出されたページは、検索アルゴリズムによって重要度などが判定され、ランキング付けされた上で検索結果として表示されることになります。

これら3つの要素が連携して動作することで、検索エンジンは膨大なWebページの中から、ユーザーが求める情報を瞬時に見つけ出すことができるのです。

クローラーの種類と特徴

代表的なクローラーとその特徴を表にまとめました。

クローラー名検索エンジン特徴
GooglebotGoogle最も有名で利用されているクローラー
ページの内容だけでなく、サイト構造やリンク関係なども詳細に分析する
モバイル対応の「Googlebot smartphone」も存在
BingbotBingGoogleに次ぐシェアを持つ検索エンジンのクローラー
Googlebotと同様の機能を持つが、クロール頻度はやや低めと言われている
Baidu SpiderBaidu中国最大の検索エンジンのクローラー
中国語のサイトを中心にクロールしている
Yandex BotYandexロシアの検索エンジンのクローラー
キリル文字を使った言語のサイトに特化している
ApplebotAppleAppleの検索エンジン用のクローラー
音声検索のSiriや、OSに内蔵された検索機能に利用されている
DuckDuckBotDuckDuckGoプライバシー保護に特化した検索エンジンのクローラー

各クローラーにはそれぞれ特性があるため、主要な検索エンジンのクローラーに最適化することが、サイトの認知度を高めるために重要です。

クローラーとSEOの関係性

検索エンジン最適化(SEO)において、クローラーはきわめて重要な役割を担っています。なぜなら、クローラーがサイトをうまく巡回できなければ、検索エンジンのデータベースにサイトが登録されず、検索結果に表示されないからです。

SEOでは、クローラーがサイトを効率的にクロールできるような、サイト構造やページ設計を行うことが求められます。具体的には、サイトマップの作成、内部リンクの最適化、ページの軽量化などが挙げられます。

また、クローラーはサイトの更新頻度もチェックしているため、定期的に新しい情報を追加することも重要です。古い情報ばかりだと、クローラーの訪問頻度が下がり、ランキングに悪影響を及ぼす可能性があるのです。

つまり、クローラーとSEOは密接に関係しており、クローラーのことを理解し、クローラー目線でサイトを最適化することが、検索順位を上げるための大切な取り組みだと言えるでしょう。

検索エンジンの仕組みとクローラー

ここでは、検索エンジンの仕組みとその中でのクローラーの役割について解説します。

検索エンジンの進化と変遷

検索エンジンは、インターネットの普及とともに進化を遂げてきました。初期の検索エンジンは、人力でWebサイトのデータを収集・整理する「ディレクトリ型」が主流でした。代表的なものとして、Yahoo!ディレクトリがあります。

しかし、Webサイトの爆発的な増加に伴い、人力での対応が困難になってきました。そこで登場したのが、クローラーを使って自動的にデータを収集する「ロボット型」の検索エンジンです。1990年代後半にGoogleが登場し、リンク分析に基づくページランクアルゴリズムを導入したことで、検索の質は飛躍的に向上しました。

現在では、GoogleやBing、Baiduといった検索エンジンが、高度なアルゴリズムとクローラーを駆使して、膨大なWebページを分析・ランキングづけしています。検索エンジンは、私たちがインターネットを活用する上で欠かせない存在となっているのです。

クローラーによるWebサイト情報の収集と評価

クローラーは、Webサイトを巡回する際、ページのURLやタイトル、メタディスクリプション、見出しタグ、ページ内のテキスト、画像や動画などのリソース、内部リンクと外部リンクといった様々なデータを収集します。

これらの収集したデータは、検索エンジンのインデックスに追加されると同時に、そのページの重要度や関連性を評価するための分析が行われます。クローラーは、ページの内容の質と専門性、キーワードの出現頻度と配置、ページの更新頻度と新しさ、サイト内での権威性(ドメインパワーなど)、外部サイトからの被リンク数と質などを評価の対象とします。

つまり、クローラーによる情報収集と評価が、検索結果を左右する重要な要因となっているのです。サイト運営者にとっては、クローラーがサイトの内容を適切に評価してくれるよう、ページの最適化に努めることが求められます。

検索結果の表示とランキングアルゴリズム

ユーザーが検索エンジンで何かを検索すると、検索クエリに関連するページが検索結果として表示されます。この表示順序は、検索エンジンのランキングアルゴリズムによって決定されています。

ランキングアルゴリズムは、非常に複雑で、200以上の要素が考慮されていると言われています。それらの要素をバランス良く評価することで、ユーザーにとって最も有益な検索結果を提供することが、検索エンジンの役割です。そのため、検索アルゴリズムは常にアップデートが繰り返され、進化し続けているのです。

検索順位を上げるためには、このアルゴリズムを理解し、クローラーにとって良質なサイトであると認識してもらう努力が求められます。つまり、SEOの本質は、検索エンジンの仕組みに適応し、ユーザーに価値あるサイトを提供することだと言えるでしょう。

クローラビリティ改善のための施策

クローラーがサイトを効率的に巡回し、情報を収集できるようにすることを「クローラビリティの改善」と言います。ここでは、具体的な施策について解説します。

サイトマップの作成と送信

サイトマップとは、Webサイトの全ページ一覧を記載したファイルのことです。クローラーはこのサイトマップを参照することで、サイトの構造を理解し、効率的にページを巡回することができます。

サイトマップには、XMLサイトマップとHTMLサイトマップの2種類があります。XMLサイトマップは、クローラー専用のファイル形式で、サイトの全ページのURLや更新日時、更新頻度などのメタ情報が記載されています。一方、HTMLサイトマップは、ユーザー向けのページで、サイトの階層構造をリスト形式で表示したものです。

サイト運営者はこれらのサイトマップを作成し、クローラーに対して送信(通知)することが推奨されています。XMLサイトマップは、Google Search ConsoleやBing Webmaster Toolsから送信できます。HTMLサイトマップは、サイトのトップページやフッターなどからリンクを張ることで、クローラーに発見してもらいやすくなります。

内部リンク構造の最適化

内部リンクとは、自サイト内のページ同士を相互にリンクで結ぶことを指します。適切な内部リンク構造を設計することで、クローラーがサイト内を効率的に移動でき、重要なページを見落とすリスクを減らすことができます。

内部リンクを設計する際は、以下の点に注意しましょう。

  • リンク元とリンク先の関連性を高める
  • リンクの数を適度に保ち、リンク先のページを厳選する
  • ナビゲーションメニューやパンくずリストを活用する
  • ページ下部へのリンクを設置し、行き止まりページをなくす
  • アンカーテキスト(リンクのテキスト部分)にキーワードを含める

また、孤立したページ(どこからもリンクされていないページ)を作らないことも重要です。サイトマップだけでなく、内部リンクでもすべてのページにたどり着けるようにすることが理想的です。

URLの正規化と重複コンテンツ対策

URLの正規化とは、アクセス可能な複数のURLを、単一のURLに統一する施策のことです。例えば、以下のようなURLがあったとします。

  • http://example.com/
  • https://example.com/
  • http://example.com/index.html
  • http://www.example.com/

これらはすべて同じページを指していますが、クローラーからは別のページと認識されてしまいます。これを「URLの重複」と言います。重複したページが存在すると、クローラーがサイトの評価を下げる原因になります。

そこで必要になるのが、301リダイレクトやcanonical(カノニカル)タグを使ったURLの正規化です。301リダイレクトは、旧URLにアクセスした際に、新URLに自動的に転送する設定のことです。canonical(カノニカル)タグは、重複ページの中で最も適切なURLを指定するHTMLタグです。

canonical(カノニカル)タグの具体的な設定方法に関してはこちらをご覧ください。

これらの施策により、クローラーに重複ページではなく正規のURLを認識してもらうことで、サイトの評価を高めることができるのです。

ページの階層とクリック深度

ページの階層とは、トップページからの深さを表す指標です。一般に、階層が浅いページほど重要度が高いと見なされます。クローラーも、サイトの浅い階層のページから優先的にクロールする傾向があります。

ページの階層は、「クリック深度」とも関係しています。クリック深度とは、トップページから目的のページまでに必要なクリック数のことです。ユリンクのテキスト化とアンカーテキストの改善

クローラーは、リンクのアンカーテキスト(リンクの文字部分)を解析することで、リンク先のページの内容を推測します。つまり、アンカーテキストは、クローラーにページの主題を伝える重要な手がかりとなるのです。

そこで、以下のようなアンカーテキストの改善を行うことが効果的です。

  • ページの内容を的確に表すキーワードを含める
  • 単なる「こちら」「ここをクリック」という表現は避ける
  • 画像リンクではなく、テキストリンクを使う
  • 同じアンカーテキストを繰り返さず、バリエーションを持たせる

また、内部リンクだけでなく、外部サイトからのリンク(被リンク)のアンカーテキストも重要です。自然な被リンクを増やすことで、サイトの評価を高めることができます。

ただし、アンカーテキストの最適化はあくまで自然な形で行うべきです。不自然なキーワードの羅列は、スパム行為とみなされるリスクがあることに注意しましょう。

クローラーに優しいWebサイト設計

クローラーがサイトを正しく評価してくれるよう、サイト設計にも気を配る必要があります。ここでは、クローラービリティを高めるためのサイト設計の工夫を紹介します。

サイト構造とナビゲーションの改善

サイト構造がシンプルで論理的であることは、クローラーがサイトを理解する上で非常に重要です。理想的なサイト構造は、トップページを頂点とし、カテゴリーページ、個別ページと階層が細分化されていくピラミッド型やツリー構造です。

このようなサイト構造を実現するためには、ナビゲーションメニューの設計が鍵を握ります。ナビゲーションメニューは、サイトの全体像を俯瞰できるものであり、ユーザーの目的に合わせた論理的なカテゴリー分けがなされているべきです。また、HTMLタグを活用して階層関係を明確に示すことで、クローラーによる解釈を助けることができます。

サイトマップの作成やパンくずリストの導入も、サイト構造を整理し、クローラビリティを高める上で有効です。サイト構造とナビゲーションの改善は、ユーザビリティとクローラビリティ、両方の向上につながる重要な施策と言えるでしょう。

パンクズリストに関してはこちらで詳しく解説しています。

ページロードスピードの高速化

ページの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスを左右する重要な要素であり、同時にクローラーにとっても重要な評価ポイントとなります。Googleは、表示速度が遅いサイトを検索順位で不利にする、と公言しています。

ページロードスピードを高速化するためには、まず画像やリソースファイルの最適化が求められます。画像の圧縮や適切なフォーマットの選択、CSSやJavaScriptのミニファイ化と外部ファイル化などの施策が有効です。

また、サーバーサイドでのキャッシュ設定やCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の活用も、ページの高速化に役立ちます。同時に、不要なプラグインやウィジェットを削除することで、ページの軽量化を図ることも重要です。

これらの高速化施策は、クローラーだけでなく、ユーザーにとってもメリットがあります。サイトの表示速度が上がれば、直帰率の低下やコンバージョン率の向上、ひいては検索順位の上昇にもつながるでしょう。

サイト運営者は、ページロードスピードを定期的にチェックし、継続的な改善に努めることが求められます。GoogleのPageSpeed Insightsなどの測定ツールを活用し、自サイトの表示速度を客観的に評価することから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上、クローラーに最適化されたサイト作りのポイントについて解説しました。 クローラーは検索エンジンにおける重要なパートナーです。クローラーの目線に立ち、適切にサイトを最適化していくことが、検索順位の向上につながります。

SEOは一朝一夕に効果が現れるものではなく、地道な取り組みの積み重ねが求められる分野です。基本を抑えつつ、トレンドにも対応し続けることが重要です。クローラーとSEOについて正しく理解し、戦略的なWebサイト運営を心がけていきましょう。

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